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徹底解説!スピニングリールの分解とメンテナンス.気をつけるべき点など
はじめに
私は現在,スピニングリールを20個以上保有しており,その全てについて,完全分解と調整のあと実釣とゆうプロセスをそれぞれ少なくとも複数回にわたって繰り返している.
単に分解して元通りにしているだけではなく,中にはボディそのものを改造してベアリングを増やしているものも幾つかあるし,トータルでの分解メンテナンス回数はゆうに100回は超えていると思う.
そのような次第で,僅かな差異が実釣においてどの様な変化をもたらすかとか,長く使い続けるとどの様な問題が生じるか,などのノウハウが必然的に蓄積してしまった.
今回,ダイワのプレジャー2 2506(PLEASURE II 2506) とゆうジャンクで古い安物リールが手元に回ってきたので,いつも通りの標準メンテナンスを施すにあたり,その手法を公開しようと思う.
問題点
最初の状態.
水没して各部が固着している.
エッサマンが使っていたので,当然使いっぱなしである.
パッと見て解る問題点.
まずメインギアのバックラッシュがガタガタ.
ベール下がり(ダイワ病).
これはダイワ特有の問題で,樹脂が摩耗する事によって生じる.
ダイワのローターには DS4,DS5,ザイオンがあり,DS5以上であればこの問題は起こらない.
この機種はDS4ですらない「単なる樹脂」である.
スプール
糸を外す.
シャロースプールなのになぜかナイロンが巻かれていた,エサ釣りに使われていた,典型的な素人リール.
スプールエッジ.
ここは徹底的にツルツルに磨き上げておかなければならない.ここの扱いを見ればアングラーの技術レベルが解る.
置いた時など,磯やテトラに直接当たる事を気にしていない様であればアマチュアである.
磯でどんなに激しく転ぼうが,絶対にスプールエッジだけは無傷で守り通さなければならないものなのである.
自分の指を使って糸の放出をシュミレーションしてみて欲しい.すぐに解る事だが, 糸はスプールエッジを舐める様に,例外なく全周を摩擦して出ていく 事になる.
ここに傷があってもナイロンやフロロではすぐにそれ程は気にならないかも知れないが,PE ラインでは致命的なのである.
ドラグを分解する.
ダイワのドラグには UTD と ATD がある.
この機種は UTD でさえなく,見て解るとおり黒い樹脂のワッシャが入っているに過ぎないが,本来ここはフェルトの製品が入っていなければならない.
とりあえずシマノのドラググリスに入れ替えてこのまま組んでみて一秒で解った.案の定,実釣するまでもなく,使い物にならない.
歴史的にシマノとダイワではシマノの方が圧倒的にドラグ性能(ドラグ力ではない)が良いとされており,ダイワは 現行の ATD になってやっとシマノの様になめらかでさほど遜色のない性能となったが,UTD の頃までは出だしにそれなりの力が必要なのにもかかわらず,それ以降は出っぱなしになる所謂「カックンドラッグ」であった.
ただ,UTD でも完全脱脂してグリスをシマノに入れ替えるとそれなりに性能は改善する.
ちなみにダイワの場合はグリスにもグレードがあり,それぞれ使い分けなければならない事になっているが,シマノの場合はエントリー機種から最高峰のステラまで,基本的にドラグの構造と素材は一緒であり,グリスも一種類しか存在しない.
ドラグワッシャーを入れ替える.右がいま分解している固体,左が古いナスキー4000
少しフェルトが大きい様である.
こちらはエアノス2500で,若干小さいが入れば問題ないのでこちらを採用.
この交換によりドラグは完全にシマノと同等になった.
ベール
次はベール下がり問題.
使用に伴い,この軸が摩耗してくるのである.
この修理にはいくつか方法があり,例えば樹脂を削って間にベアリングを入れてしまう方法がある.私は11フリームス4000ではその様にしているのだが,今回はより簡単な方法を採用する.
完全脱脂して軸の周囲を舐める様に接着剤を付け,何も貼り付けずにそのまま乾燥させる.
これにより,接着剤の分コンマ何ミリか分厚くなるのである.必要とあればこの処理を繰り返す.
ちなみにこの方法は緩くなった MicroUSB ポートなどの修理にも使えるので覚えておくと役に立つ.
そしてベールのストッパーが当たる部分に(解りにくいけど)この様なセルロイドなどで薄いシムを作って接着する.
ラインローラー
ラインローラーに関しては他のサイトでも散々解説されているのでここでは割愛する.
基本的にはカラーをベアリングに入れ替え,シムでクリアランス調整するだけであり,この個体の場合は740ZZ が二つ入った.
ちなみにレガリスなどの最近の安いダイワリールはラインローラーに+2BBされない様,カラーのサイズを変えてきている.
続きます