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DTM用スピーカー音響補正ソフト「ARC System3」を導入した感想とWindowsの音声出力全体に補正を適用する方法
ARC System3(ARC3)とは?
部屋の音響そのものを改善するイコライザみたいなもの.
同種のソフトにはかの有名なSONARWORKSがある.
高いものになると100万円以上するトリノフオーディオの様なシステムも存在する.
フリーでは解析ソフトとしてREW(Room Equalization Wizard)とゆうものがあるが,測定用マイクとかなりの知識が必要.
しかもEQそのものは別に用意して設定しなければならず,未経験の素人がやるにはかなりハードルが高い.
なぜ必要なのか?
SONARWORKSを導入した人のほぼ100%全員が「目からウロコで劇的な効果がある」と報告している.
私も,良いものらしいとゆう事は知っていたのだが,フリーでやる方法を模索していて,低域から高域に向けてゆっくりサイン波を変化させていくと,もの凄く音量が下がる所があった.
当然,気付かない様な音量差はもっと無数にある筈で,それらを耳と手動とフリーソフトで設定するのは私の能力を明らかに超えていると感じた.
(ARC3を経験した今となっては,フリーでも近いところまでは追い込めるとは思うが,精度とゆう点では,既製品にはやはり敵わない)
正直,スピーカーとゆうのは,一定以上の品質であれば,ほんの僅かに性能をあげるだけでも指数関数的に¥が掛かるものである.
例えば,三万円のスピーカーから五万円のスピーカーに買い替えたところで,そんなに音は変わらない.
だったら,明らかに効果があると解っている補正ソフトを導入した方が効果は絶大であろう!とゆう理屈で購入してみた.
私は T-Racks5 SEの正規ユーザーなので,クロスグレードで測定マイク付きを18800円で購入した(音屋).
中身はこんな感じ.シリアルコードと測定用マイク.
ARC System3 と SONARWORKS どちらが良い?
人によってどちらが良いかは変わるでしょう.
ざっくりした大きな違いとしては,SONARWORKS はシステム全体の音を補正出来るのに対して,ARC3 は「スタンドアロンの解析ソフト+VSTプラグイン」として動作する.
従って,ARC3 は基本的には DAW 上からしか利用出来ない.が,これについては裏技があって,システム全体に適用する方法は後述する.
あと,iLoud MTM の様な,スピーカー単体で実装されている補正システムも考えたが,タンノイを使い続けたかったのと,他の部屋/他のスピーカーでも使える点を考えてARC3を選択しました.
実際導入してみてどうだったか?
悪くない…とゆうか,正直これは「かなり良い」と認めざるを得ない….
元の状態と比べて「霧が晴れた様な」と表現してる使用者が非常に多いのだが,まさにその感じがする.
そして,補正をそのまま100%適用すると,ものすごくフラットになり過ぎる.にも関わらず,極めてナチュラルで,補正した様な感じが全然しない.
ただ,これでは,スピーカーの良さや個性が全然なくなってしまう.まさに完全フラットなので,まるでYAMAHAみたいな音である.
これについては,手動でカーブを調節出来るので,元のタンノイのカーブに近づけると,めちゃめちゃ良い感じになった.
これでも低音部のデコボコは消えるので,モニターSPとしての性能の向上は十分に感じられる.しかも,それ以外の部分についてはほぼオリジナルのカーブに添っている状態.
タンノイの旨味を残しつつ,モニターSPとしての性能を手に入れた様な感じ.
特にキックとベースのバランスや分離が劇的に改善したのと,エフェクトやサチュレーションの乗り方などの見通しが良くなり,今まで気付かなかったミックスの粗がかなり明らかになった.
なにより,正しい音でモニター出来ているとゆう安心感は値段には替えられないものがある.
気をつけるべき点
ARC3 は飽くまで「VSTプラグイン」として動作するので,最終ファイルを書き出したりバウンスする時はオフにしないとダメです.
システム全体に適用するには?
EqualizerAPO とゆう VSTプラグインが読み込めるイコライザソフトがある.
が,残念ながら私の環境では ARC3 はきちんと動かなかった.
代替手段として,Virtual Cable(I/Fへの出力を疑似的に別のI/Fの入力に接続するソフト)と VST Host を組み合わせる事で実現した.
以下の手順に従えば,ゲームとかブラウザなどの出力にもARC3を適用出来ます.
- Virtual Cable と Vst Host をインストールする.
- タスクトレイからシステム音声の標準出力を「Cable Input」にする.
- VST Host を起動,Device -> Waves を選択.
- Input Port:「Cable Output」,Output Port:に「実際のI/Fの出力」を選択.
- ツールバーの左上あたりにある「New Plugin」アイコンをクリックし,ARC3プラグインを読み込む.
- Performance -> Save as で適当な名前を付けてプリセットを保存しておく.
- VST Host をスタートメニューに入れるか,タスクバーにピン留めしておくと使いやすい.
- Auto Save Plugin Banks と Minimize to System Tray もチェックしておくと幸せになれるかも.
ちなみに,タスクトレイの標準のボリューム調整は利かなくなるので,ARC3 プラグインのTRIMで調節する事になる.
また,マイクの設定から Vst Host がデバイスにアクセス出来る様に設定しておかないと,何を選んでも "No Wave" になってしまうので注意.
オマケ機能
VIRTUAL MONITORINGとゆう機能を使って,スマフォとかラップトップなどのしょぼいスピーカーのエミュレーションが出来る.
さすがにコレを聞きながらミックスはしないが,どんな風に聞こえるのかの確認には使えます.
ちなみにこれはスマフォのカーブ(マジで酷いww).
本当に目の前にスマフォを置いて鳴らしてるみたいに聞こえるのがある意味凄い.
まとめ
私としては,しばらく使ってみて「もう補正なしには戻れないな」とゆうのが正直なところ.
買って全然後悔はしていないし,むしろ「買って良かった」ものの一つですね.
正直,DTM用として売られている一般的なコンシュマー向けスピーカーは全て,その予算に二万円上乗せしたところで,この性能差は絶対に出ないと思う.
そうゆう意味ではもの凄くコスパは高いと思います.
とは言え,まずは部屋の音響そのものをある程度改善出来るなら,まずはそこからです.
スタンドやデスクを改善したり,スピーカー裏(正面の壁)全面に吸音材を貼り付けまくるなどすると良いです.
以上,導入を検討中の方の参考になれば.