鍛冶屋(鉄工所)が作る玄関ゲート/門扉の記録.DIYの参考に!

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鍛冶屋(鉄工所)が作る玄関ゲート/門扉の記録.DIYの参考に!

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鍛冶屋(三代目)の私が門扉(観音扉)の仕事を受けたので紹介します.
DIYでこれから作る人に,プロの手順として参考になれば幸いです.

溶接機を売ったお客さんから依頼された.
門を修理してくれと.
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いや,これはちょっと…
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¥掛けて修理しても良いものにはならん.
しかし,詳しく採寸などして調べたが,扉としては実によく出来ており,昔ながらの鍛冶屋が作った,非の打ち所のない,正確無比で完全無欠の門扉ではある.
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その昔,うちが盛大に仕事をしていた頃は,この様な門扉やガレージや今で言うカーポートなどを,ワンオフで,数限りなく手掛けていた.
取っ手の造形が違うのでうちの仕事ではないが.
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修理しても無駄だという事で了承してもらった.すると,新たに作ってくれと….
段ボールに簡単な略図を書かれ,漢字でいう「日本」の「日」の形を二枚作るだけで良いから,と,かなり簡単に考えてる様子.
いや,絶対そんな簡単にうまい事はいかないから(–;;
あまり気乗りはしないのだが,まぁ乗りかかった船なので受ける事にした.
という事で,材料を注文.
仕入れ価格は,当時の二倍以上になっているかも知れないな….
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直角ジグで直角を,
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定盤で平面を出して,
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仮溶接が完了.
この時点では,対角で2~5mmの誤差.
溶接する順番を工夫して溶接歪みを利用すればいい感じになりそう.
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ちなみに,思いっきり狂った場合は,この様にターンバックルを一時的に溶接して締めて直す.
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本溶接する.
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フタを作る.
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だいたいの形が出来たところ.
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元々のヒンジを流用する.そうでないと,元々ある門柱に取り付ける事は出来ない.
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左上は左上,右上は右上という感じで,可能な限り元通りの場所に溶接する.
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ただ,元々のヒンジ自体が,正しいと思われる位置についていなかったり,角度が曲がっていたりする.
これは,元々の鍛冶屋が,その場で門柱に現物合わせで付けたからである.それを再現しないと,取り付けは不可能な訳だ.
しかも,元々の角パイが完全に溶け込んでいたせいで,肉が残ってしまって,可能な限り削ったけども,両サイド合計で3mm程度クリアランスが狭くなった筈.
これは唯一の誤算だった.この点に関しては私の責任ではある.
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現場に持ち込み.
干渉して閉まらない…一部切り取って対策(–;;
まず言っておくけども,私は,この現場を事前に実際に自分で採寸した訳ではない.
元々のサイズ,160×80を二枚作れと言われて,その通りに正確に作っただけである.
元々の扉は,中央の縦の二本が少し上に飛び出しており,そこが160だったのである.
もし自分で採寸していれば,門柱に干渉する事に気付いただろう(というより,160などと見積もる訳がない).
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そして,素人が軽く考えるほど,観音扉の取り付けは簡単なものでもない.
二枚を仮の梁などでクランプして一枚のものとして,正しい位置に固定した状態でヒンジを現場で溶接する.
つまり,通常は門柱側のヒンジの取り付けも鍛冶屋の仕事なので,幾ら正確に作った長方形でも,元からある門柱側ヒンジにそのままポン付け出来る訳がない.
もちろん,今回の様に,ヒンジ自体を元々の位置に取り付ける事は可能は可能である.
しかし,角度が0.1度でも違えば,閉め合わせ部分でその誤差は膨れ上がり,上下互い違い,左右捻じれなどとして現れる.
これは制作精度がどうのという問題ではない.制作手順の問題なのである.
その事は,受ける前から散々説明したのだが,なんとかなるでしょ,と言われ….
高さ,捻じれ,ヒンジの位置,ヒンジの曲がりなどを微修正,辻褄合わせして,なんとか取り付けが完了.
(これらの作業なしでは,扉として機能しない酷い取り付け状態だったが,それは想定していたので,対処法も考えてきていた)

しかし,前述したとおり,クリアランスが3mm程度狭くなったのは予想通りで,ギリギリ隙間なくピッタリ閉まる程度になってしまった.
とは言え,その事自体は,私がいかにこの長方形二枚を正確に作ったかの証明にはなるだろう.
ぜひ拡大して確認してほしい.
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一旦持ち帰り,切り取った干渉部分のフタを作る.
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そして,元々の閂を元々の位置を再現して取り付ける.
手順としては,正常に取り付けが確認出来てからやるべき仕事なので.
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この様な閂の在庫も,大昔に作った分があるのだが,元々の鍛冶屋へのリスペクトとして,残せるものは残すべきだと私は思う.
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溶接部に錆止め塗装して完成.
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なんと,この状態で完成,である.
通常は格子部分も作って,最終塗装して納品なのだが,それはオーナーが自分でアルミなどを貼ったりするらしい.
なんとも中途半端な仕事になるので,私以外にこの様な仕事を受ける鍛冶屋はいないかも知れないが,私もDIYerなので,安く済ませたいという気持ちは解る.
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以上,DIYで門扉を自分で作ろうと思ってここに辿り着いた人の参考になれば幸いです.
もしあなたがハイアマチュアで,少なくとも棚などの四角のものを何度か作っており,これを読んで門扉も作れる自信が持てるなら,上記の手順に従えば,完成は出来るでしょう.
ただ,溶接もこれから覚える,という程度では全く話にならないので,悪い事は言わない.プロに作ってもらった方が良いと思う.
実際,依頼主は(私から溶接機を買っておきながら)そう思ったからこそ,私の所にこの話が来た訳で….

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書いた人

me 小津雪ヲ: 生きるとゆう事は,雑多な問題に対処するとゆう事.
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