ボディ
クラッチ部分である.これはシマノではもはや一つのアッセンブリーパーツに置き換えられており,基本的には分解を必要としないのだが,この個体は洗練度が低く,少なくとも三世代は前の設計である.
この構造を完全に記録しておかなければ,元に戻す事は出来ないかも知れない(実際かなり手間取った).
蓋を外す.シマノの場合は足が左側に付いているが,ダイワは逆である.
メインギアを外す.
ベアリングは左右どちらもカラーであった.シマノであればアリビオに相当する機種である事が解る.
現在のリールのスプール可動機構には大雑把に別けて二種類,ウォームギア方式とオシレートギア方式があり,これは後者である.
ちなみにシマノでも安い機種はオシレートギア方式が採用されているが,何故か(ダイワの特許問題を回避する為だと言われている)ギアの形が楕円であり,ギアの噛み合わせは指定された位置に設定しなければならず,ものすごく面倒である.
当然ベアリングに入れ替えるが,樹脂が摩耗してここにガタが生じている場合は,先ほどの方法で完全脱脂と瞬間接着剤でクリアランス調整が可能である.
この部分に限っては,なんならベアリングはそのまま接着してしまっても構わない.
グリスをこのくらいつける.あまり付け過ぎると粘度によりボディとの間で貼り付きが生じ,スムースさに支障をきたす事がある.
しかし,足りないと巻きだしが軽い力ではじまらず,やはり貼り付いてしまううえ,次回メンテナンスまでの頻度があがってしまう.
グリスの量と種類(粘度)はものすごく重要だが,最適値の見極めは経験が必要.
ちなみに私はシマノの純正グリスと,より高粘度な自転車用のデュラエースグリスのほか,アジング用のソアレCI4+などにはよりサラサラのオイル系などを使い分けている.
この部分はメタルであった.
極小のベアリングに入れ替える事も出来そうだが,今回はこのまま.
メインギアにもグリスを塗って戻す.
ここに 0.1 mm 単位のシムを挟んでバックラッシュを調節する.
シマノもダイワもここは共通のシムが使える.
実は内径が1mm程違う(ダイワ>シマノ)が,大きい分には問題なし.
この部分のビスの締め付けトルクでも若干ながら仕上げの微調整をする事が可能.
フタを閉じ,ハンドルを付けて回してみて,ダメならシム調整を繰り返す.
最適なバックラッシュはトライ&エラーで各自探られたし.
ワンウェイクラッチをメンテナンスする.
ローラーは通常6個入っているが半分抜いてしまう事もでき,軽い巻きが必要なアジング用リールなどにはお勧めのカスタムである.
が,ライトゲーム以上のリールにはやらないほうが良いし,やっても意味はないだろう.
耐久性に関しては,半分抜いたものも長く使っているが,少なくとも1000番クラスでは特に問題は生じていない.
続きます