目次
ギルドウォーズ2 Guild:[SIGN]プロモーション動画とオフィシャルテーマソング「Born in Slave Land」についての解説
はじめに
私は趣味でフラメンコギター(独奏)をやっています.
その奏法を流用(悪用?)してこうゆうスタイルで弾き語りなんぞ俗な事をやるのは,私くらいのものでしょう(笑).
試作版(ショート版)
そもそもの作曲の発端は,とある Youtube 釣りチャンネルさんが,自分のチャンネル用にテーマソングを自作していた事でした.
(その曲がめちゃめちゃ良くて,大好きなので,感化されたとも言う)
そこでアイデアが浮かび,私なら(そもそもYoutubeをやってないけど!)こうゆう風に作るとゆう「脳内アンサー」としてワンコーラスだけ制作したものでした.
最近は多忙で音楽活動からも遠ざかっているので,本来はそこで終わりの筈だったのですが,ふとGW2の動画と組み合わせてみたところ,突然面白くなりはじめたんですね.
その動画がこちらになります.
フルコーラス版(ロング版)の制作
そしてこのショート版(試作版)を内々に発表したところ,思いのほか好評価を頂いたので,フルコーラス版を制作する事になりました.
完成までの紆余曲折はあったものの,それはあとで説明するとして,出来上がったものがこちらになります.
歌詞について
歌詞はフルコーラス版制作決定の30分後にはすでに出来ていました(ぉぃ).
ゲームのプロモーションだからと言って,なんのメッセージも含まれていないとゆうのは違うと考えました.
なので,私が今のネットや社会に対して感じている気持ちの様なものを込めてみました.
まあ,響く人は少ないと思いますが.
ライブ演奏版(とゆうか,収録時の録画)
アレンジなどは私の場合,まぁなるようにしかならない…とゆうか,自分の独自のスタイルがもう完成していて,何を弾いても一緒なんですよね(苦笑).
なので,楽曲自体は制作を決定した次の瞬間には,もう出来たも同然でした.が,とりあえず二三日は,各パートの順番やアレンジ上の細かい点を煮詰めていた様な気がします.
そしておもむろに録音開始.
録音の技術上の試行段階を別として,最終段階ではギター+ヴォーカルの弾き語り自体は3テイクも録ってないと思います.
完成した弾き語り版がこちらになります.
途中二箇所ノイズの様なものが入っていますが,安っすいGoProもどきを使ったからですorz
カメラをメインとサブで逆にするべきでした.
私は,自分の音楽は,作り込んでいない(==嘘をついていない)事を信条としていて,失敗したら失敗したでそれで良いと思っているし,いつもなら後から弄る事は殆どしません.
それを単に完成度が低いと受け取る人は,まぁ嘘がてんこ盛りの音楽を聞いてれば良いんでない?と思っていて,そうゆうのにうんざりしたからこそ,こうゆうスタイルに行き着いた訳です.
(知らない人の為に,まず最初に言っておきますが,この曲は飽くまで「フラメンコギターの奏法を流用したオリジナル曲」であって,フラメンコそのものでは絶対にないです.この断わりを入れておかないとぶっ殺されるのでw)
そもそもフラメンコギターとゆうものは,電気的に音を作っているエレキギターなんかと違って,ほんの僅かでも音を弄るとすぐにバレます.
許されるエフェクトとゆうのは,せいぜい僅かなダイナミクス/トランジェント調整と空間系くらいのもので,まったく嘘がつけない.そのシビアさは,生楽器の人は知っていると思います.
電気的な嘘がつけないからこそ,フラメンコギターは繊細かつダイナミックな表現力を持っているのであって,それが売りの楽器・演奏技術でもあります(その難易度の高さもあって,ギタープレイヤー人口の全体に対してほぼ皆無なまでに奏者が少ないのですね).
だから,フラメンコギタリストは,トータルの演奏技術レベルや音楽性の違いはそれぞれあるにせよ,嘘をついていないとゆう事だけは,全員そこに絶対の自信がある.
これが私のギターの音であり,全てですと,自信を持って言える.
ヴォーカル
さておき,私のスタイルには,致命的な問題があって,十年以上前からそれを克服しようとしているけれど,いまだに解決出来ていません.
それは,ボーカル用マイクにギターが,ギター用マイクにボーカルが被る事,完全なセパレートが物理的に出来ない事です.
ヴォーカルを思いっきりオンマイクで,ギターはサイレントエレガットを使うなど方法はあるにはありますが,エレガットは飽くまでエレガットであって,フラメンコギターではない.
エレガットは,実際遊びでは使ってるけど,その音の悪さを誤魔化す為に電気的に音を作る事になる.それだと世の中にゴマンと居るエレキと同じな訳ですよ.
別に良いじゃん,エレキギター使えば?と突っ込む人が居るかも知れないが,そもそも鉄弦は表現力が低すぎて論外です.
ヴォーカルも,オンマイクだとエアー感が皆無の酷い状態になります.
同じ理由で,完全な分離が出来ないとミックスで音を仕上げる事が殆ど不可能になります.
分離が出来ていれば,ヴォーカルハーモニー生成エフェクターなどがリアルタイムで使用可能になります(かつてやってました).
特にボーカルは,いまやピッチ補正プラグインのおかげで,どんな下手クソでもまともに聞ける様になります(笑).┐(´д`)┌ヤレヤレ
私も人の事は言えず,酷いヴォーカルです,ええ.
まぁライブ演奏では,ちょっとくらい音を外しても,先述したとおり,それはそれで良いかなと.
とゆうか,ヴォーカリストではないのだから,勝負するところはそこではないと思っています.だから歌の練習はしないし,時間を使ってやる程の価値はないとさえ思ってます.
とは言え,私の考えや,そこに行き着いた理由や,敢えて作り込んでいない(嘘をついていない)事への拘りは,私が「いや聞くべきところはそこじゃねぇんだ…」と言っても,大抵の場合,理解はされなかった.
ただ,なんとなく最近,音源として残すのなら,音を弄っても良いのではないか,いや,むしろ積極的に音を作るべきだと思う様になってきました.
これは,フラメンヘラプロジェクトで,殆ど誰にも私の考え,音楽性が理解されなかった事に起因しています.
特にDTMerは,嘘がてんこ盛りの音楽しか知らない.
じゃぁ嘘をついてやろうじゃねぇか!とゆうのが今回の企画になります(笑).
ピッチ補正の道へwww
いざ,補正するとゆう決定を下したあとは,割と簡単でしたね.
マイク
まず,超指向性のマイクを入手しました.
私のスタイルと似ている奏法にスラム&スラップ奏法とゆうのがあって,そのジャンルでは,ある人がSM7Bを使っていましたが,そこそこのオフマイクで録るなら,恐らく不十分だと思われました.
そこで着目したのがさらに指向性を持っている Audio Technica の AT2040 です.
オーディオ I/F
そして肝心のピッチ補正プラグインですが,もとより Universal Audio Apollo では,有料プラグインではありますが,内蔵DSPによるゼロレイテンシーでの完璧なピッチ補正が可能です.
今まで使ってなかったけど,いやこれ,殆どチートだよ(笑).
さて,いざシェイクダウン!
予想通り,不完全…音被りますね(–;
とゆうか,ヴォーカル側はほぼ完全に分離が出来ているが,ギター側に歌が被る.
そしてこの状態でボーカルチャンネルを補正処理すると,ギター側から被った歌との微妙なピッチのズレがコーラス効果になってしまう.
まぁ安定したコーラスならそれでも良いのですが,ピッチがピッタリあってる所はコーラスが掛かっておらず,ピッチを割と大きく外した部分では,深くコーラスが掛かってしまう.
今までに聞いた事のない現象,ある意味これは新しいエフェクトだが,ハッキリ言って気持ち悪い(笑)…使い物にならん!
(まぁそんな簡単に済めばとっくの昔に解決出来てるわな.今まで散々色々やったし)
よく考えれば,もう一本この超指向性マイクを入手して,ギター側にもこれを使えば問題を解決出来たかも知れない事に,いまこれを書いててはじめて気付きましたorz
まぁ所詮ダイナミックマイクなんで,どこまでギターのディテールを捉えられるか不安はありますが.
解決策
上記のメソッドとそれが失敗に終わった結果を受けて,リアルタイム補正が無理なら,DAW上であとから書き換えてしまえ…となったのは自然な流れでした.
メロダインの廉価版は持ってたのですが,ハッキリ言って不完全….そんな中入手したのがこのプラグイン,bx_crispytuner であります.
これは使いやすさが際立っていて,かけたあとのナチュラルさも素晴らしい.
ハモりパートの生成も簡単に出来ます.
とは言え,ギター側に歌を被らせないとゆう課題は依然として未解決であります.
どうやって解決したか…? まぁそれはご想像にお任せします.
言っておきますが,ギターは弾き語り版動画をご覧の通り,ダイナミクスと空間の調整のみしかしてないですよ.嘘をついているのは飽くまで「歌トラック」なので(笑).
使った楽器
ここまでぶっちゃけたんだから,この際,全部晒しましょう!
使用した機材のちょっとしたレビューと,商品へのリンクも貼っておきますので,興味があったら覗いてみて下さい.
フラメンコギター以外に使った楽器は,ジャンベ,シェイカー,パルマ(手拍子),エレキギターだけになります.
場合によっては,ベースやカホンやシンバルなどを使う事もありますが,この曲では不採用.
ベースはフラメンコギターの低音アポヤンドの表現を,カホンはフラメンコギターのルンバ(ボディを叩く奏法)を邪魔するからです.
ギター
1969年製田村廣を使用しています.
と言ったところで,同じものが手に入る訳でもないので意味ないですが.
まあこれから始める人は,最低でも↓この程度のものを買った方が良いです.
どの程度本気かにもよりますが,いずれトラッドなフラメンコ独奏にも挑戦したいのであれば,最低でもサイドバック単板は必須です.
ジャンベ
TOCA製のものを使用.
同じものが売っていないのですが,多分このあたりと同等品かと.
ジャンベにはファイバースキンとトラディショナルがあります.
前者はファイバー(プラスチック)の胴と皮,そしてドラムと同じチューニングシステムを使用していて,ドラムと同じ音がします.
後者は(ろくろさえ使わず)斧一本で丸太から削り出されたもので,山羊などの動物の生皮を張り,縦糸(ロープ)の張り具合でチューニングする.
どちらも良い音がしますが,面白さとゆう点では,断然後者をお勧めします.
私のものは完全な本物とは言えず,革はなめし皮ですね.破断張力1トン近くの登山用ザイルに交換しています.
アフリカ製の本物の大人用ジャンベは…音量がデカすぎて室内ではまず無理です(笑).
2テイク録っていて,それぞれボトム側とトップ側からマイキングしています.
そしてどちらのトラックもオートパンプラグインでグルグル動かしてます.
タム回しの様な効果,あるいはジャンベぶら下げたワイルドな野郎二人が叩きながら周囲を跳ね回っているのをイメージしてます.
シェイカー
何でも良いです.8~10kHz以下はカット.
エレキギター
自作.詳細はこちら.
使った音色は,リア+センターのフェイズトーンですね.
私のルーツはメタル(ジャーマンメタルやネオクラシカル)やブライアン・メイなので,そうしたテイストを感じてもらえれば嬉しい.
とは言え,もう長らくこうゆうソロは弾いていないので,一番苦労したかも知れないorz
フレーズは頭の中にあるのだが,久しぶりすぎて指が動かん(笑).
ミックス&マスタリング
ショート版は割と腰高で軽い仕上がりですが,今回はドカッと低音が座った感じになりました.
別に意識してそうした訳ではなく,ただ弄っているうちに自然にそうなっていきました.
ああでもないこうでもないと,かれこれ一週間以上はかかりました.
録りはそれぞれ1~3テイクであっとゆう間なのに,ミックスに一週間以上って(汗).
プラグインは新旧色々使ってます.
最終的に,一旦アナログで出して,FMR Audio RNC1773(Back to Basics カスタム仕様)でリアンプして色付けしています.
ちなみに,画面にも写っているモニタースピーカーは今回大活躍していて,TANNOY REVEAL402 とゆうモデルです.
私のデスクではサイズ的にこれが限界ですが,低音もよく出るし聞き疲れしない.
モニタースピーカーとしては若干丸い音なので定位の確認にヘッドフォンを併用する必要はありますが,非常にコスパの高い良いスピーカーでリスニングにもお勧めです.
が,廃盤の様ですので,後継機を貼っておきます.同サイズでフロントバスレフ,さらにツィーターが同軸にグレードアップされています.
キャプチャ動画について
ショート版では各シーンに対してどうゆう動画を割り当てるか,すぐにイメージが湧いて,そのとおりの画像をゲーム内からキャプチャしてくれば良かったのですが,今回はお手上げでした.
そもそも,歌詞の内容が風呂敷を広げすぎていて,ゲーム内で歌詞に合うシーンがまったく思い浮かばない.
殆ど計画は頓挫しかけていました.
しょうがないので,とりあえずいつもやってる HP Train と Fractals を紹介する感じで組み立てていきました.
まぁ,一応ストーリー性は意識しているものの,特にオチのつけようもないので,こんなもんではないかと.
そこはショート版との大きな違いですね.
ゲーム画面のキャプチャ自体は OBS を使用しています.
GTX-1650 グラフィックカードのハードウェアエンコード機能を使ってます(NVENC)
動画編集
完全に時代遅れでしょうが,Aviutlを使用しています.
バージョンは1.1じゃないとダメですね.それ以前のものだと,エラーで落ちまくって,全く使い物にならない.
以上,誰かの参考になれば幸いです.